おかげさまで、船の本の、配本がスタート。 たくさんの皆さまのお世話になり、やっと、お届けする段階に至りました。
多くの方が、「出版おめでとうございます」と、声をかけてくださいます。
(皆さま、優しいです)
そんなタイミングの頃、著者はといえば……だいたい抜け殻。
全力を出し切った。
流通にも乗って、無事に届けられそう。
とりあえず、全方位への責任が果たせた。 ……ホッ。(← 今ここ)
あなたの元にも、もうすぐ届きます。
船乗りさん発の珠玉の言葉、ぜひ、楽しみにしていてください。
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ここでは、もうすこし、本編から。
とにかく、この『光の航跡』は、魂を後ろから力強く押す、言葉の洪水です。
「船乗りになりたいと思ったのは、お父さんの影響?」
ためらったあと、強い目が、こちらを見た。
「父は、尊敬していません。
父のようには、なりません。
自分の力で生きてゆくために、僕は、船乗りになります」
『光の航跡』(藤沢優月/地湧社)
これはもう、夢物語ではない。
彼らは本当に、これから何度でも日本に……世界中に、どこにでも行ける。
しかも、自分の手で、勝ちとったのだ。
腕は太くなり、手は分厚くなり、顔はたくましくなった。
「いいから家に帰っておいで」と言われて、そのまま消えてしまった人もいる。
彼らの時間は、今ごろ、どうなっているのだろう。
『光の航跡』(藤沢優月/地湧社)
きっと、不思議なしくみになっている。
笑顔のままで、笑って人生を送るためには、力強く変わってゆかなければならない。
勇気を出して、自分の船に、乗り込まなければならないのだ。
他人の船に、便乗することはできない。
それではおそらく、行き先が違ってしまうから。
安易に乗り過ごすことも、できない。
きっと、次の船が来るまでの長い時間を、岸で待たなければならなくなる。
そうしているうちに、惰性と連鎖に巻き込まれ、船出することの意味さえ、見失ってしまうかもしれないから。
『光の航跡』(藤沢優月/地湧社)
きれいごとって、言ってもしかたがない時がありますよね。
きれいごとが通じるのは、平時だけ。
有事の時は、きれいごとではなく、「現実論」だけしか通用しない。
船乗りさんの言葉は、現実論。
きれいごとでは済まない、大海原という世界を、日ごろから相手にしている。
嵐や時化を、いかに論破しようとしたところで、目のまえの現実は変えられない。
だから、現実をしっかり見、状況判断をして、危険を避けてゆくのは「自分」。
「自分」の判断。
このような現実に、日々生きているから、言葉や見方に重みがある。
あなたが、船の上に行けないから、代わりに、私が行ってきました。
この時世(じせい)です。
一緒に、洋上の叡智を、分け合いたいです。
それでは、また。